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罰金刑を課され、罰金を納付しないでいると、最終的には労役場に留置され、所定の作業を行うことを義務づけられます。つまり、一定期間刑務所等の施設に拘束され、作業を行うことで、罰金の納付の代わりとする制度が適用されます。
つまり、実質的には懲役刑とほとんどかわりません。
判決の時に、「被告人を罰金50万円に処する。罰金を完納できないときは、金5000円を1日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。」などと言い渡されます。
この場合、罰金を1円も納付しないと、100日間の労役(5000円×100日=50万円)が必要となります。
期限までに罰金を納付せず、連絡もしないでいると、ある日検察庁の担当者が、強制的に身柄を拘束することもあるので、担当者には細目に連絡し、支払の見通しなどの話し合いを誠実に行うべきです。
国選弁護人とは、貧困等の理由で弁護人を付けられない人に、国が弁護人を選任する制度です。
被疑者段階では、死刑または無期もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁錮にあたる事件において認められます。それ他の事件では、起訴後からの選任となります。
国選弁護人が選任される資産の条件としては、50万円を下回る場合とされています。
国選弁護人は、特定の弁護士を指定することはできません。
岡山弁護士会には、国選弁護人の名簿があり、名簿の順番に国選弁護人が割り振られることになります。
国選弁護人の名簿に登録していると、名簿の順番が近い時期に、弁護士会から連絡があります。
そんなときに、世間をにぎわすような大事件が岡山で起きると、正直ドキドキします。
なお、刑事訴訟法の改正により、平成30年6月までに、被疑者段階においても全ての事件について国選弁護人が選任することができるようになります。
ニュースで頻繁に耳にする「●●は、懲役●年執行猶予●年に処せられました…」
「懲役」とは刑務所に入って、役務を行わなければならない刑罰です。
「執行猶予」とは、「執行猶予期間内に、他の犯罪を起こさなければ、判決の効力が発生しないことになる」という制度です。
つまり、懲役1年6月執行猶予3年の判決が下されたとしますと、これは「刑罰としては3年の懲役としますが、直ちにこれを執行しません。これから3年間犯罪を犯さなければその刑罰はなかったことにしますよ」という意味なのです。
つまり、執行猶予判決は、判決後も通常の生活を送ることができるのです。
ですので、判決で執行猶予が付されるかどうかは、被告人の今後の人生にとって大きな意味を持つのです。
したがって、弁護人は、執行猶予が付される可能性がある事案については、裁判官に様々な観点から情状酌量を求め、寛大な判決(執行猶予付きの判決)を求めるのです。
前科とは、過去に「刑罰」を科されたことをいいます。つまり、ある犯罪について起訴され、裁判が
行われ、有罪判決となり、刑罰に処せられた場合に前科が付きます。
よくニュースで耳にする懲役や禁固などの実刑のみならず、執行猶予付判決や罰金刑も前科と
なります。公判が開かれず、簡約な手続で罰金が科される略式手続が取られた場合も前科となり
ます。
何らかの罪で逮捕されたものの、不起訴となった場合には前科はつきません(この場合、少年時
代の保護処分歴と併せて前歴と呼ばれます)。
ニュースでも「芸能人の●●さんが保釈されました」とよく耳にします。
保釈とは、裁判所に身柄拘束からの解放を求める手続です。
裁判所に起訴された後に初めて、保釈の請求を行うことができるようになります。
裁判所から保釈の許可があると、裁判所が定めた保釈金を納付することで、身柄拘束から解放され、自宅などで裁判の準備を行うことができます。
保釈中は、裁判所より「証拠隠滅をしてはいけない」「裁判の日には必ず出頭しなくてはいけない」など、誓約事項が定められ、違反すると保釈が取り消されたり、保釈金が没収されたりするペナルティがあります。
弁護人をしていて、裁判の開廷時間直前になっても被告人の方が出頭されず、電話もつながらないときは、本当にひやひやします。
趣味の話を。私の趣味は読書です。
今後読んだ本を定期的に記録していこうと思います。
今日の本は、元裁判官木谷明さんが書かれた本「『無罪』を見抜く」(岩波書店)です。
木谷さんは、主に刑事裁判官をつとめられており、30件以上の無罪判決をだし、すべて
確定しています。
そんな木谷さんの生い立ちから裁判官生活までのヒストリーを一冊にまとめたものがこの本
です。
上司の裁判官の評価などが本音で赤裸々に書かれており、正直ここまで書くかと驚きました
た。
私が印象に残っているのは、木谷さんが、最高裁調査官時代の話です。
最高裁には、全国から上告案件が、寄せられます。大量の記録が最高裁判所に押し寄せるわ
けです。私は、このような大量の案件をどのようにして処理していているのか不思議に思っ
ていました。
この本では、刑事事件の上告案件の処理の流れも隠すことなく出てきます。
最初に事案の粗選別が行われます。
弁護人(被告人)が作成した上告趣意書(上告の理由を記載した書面)をもとに、「×」
「△」「○」「◎」の4段階に分けられます。
①事実誤認を主張している事件は、基本的には最高裁では取り上げないことになるので「×」
②量刑不当だけしか主張していない事件は、最高裁ではほとんど相手にされないから「△」
憲法違反など色々言っていても、結局量刑不当に帰着する事件も「△」
③重要な法律問題を含んでいる事件や判例になりそうな事件、あるいは事実認定でもかなり
微妙と思われる事件は「○」
④超特大の事件や極めて難しい法律問題を含んだ事件には「◎」
そして、つけられた符号の種類に従って、その後、担当調査官→裁判官の順番で配点される
ことになるそうです。
とすると、最初の粗選別の分類が非常に重要な意味を持つことがわかります。そしてその帰
趨を決めるのが、一本の上告趣意書であることがわかります。いかに上告趣意書が重要であ
るかがわかる話でした。
現在上告趣意書を提出し、結果待ちの事件があり、(現在も当時と同じ手法がとられている
ならば)今頃上告趣意書に「大きな○印」がついていることを祈るこの頃です。
「鯉とりまあしゃん」という方をご存知でしょうか?
福岡に実在した伝説の鯉とりの名人です。
ソフトバンクの孫社長は、部下に、「交渉の秘訣は、鯉とりまあしゃんに学べ」と話してい
たそうです。
まあしゃんの鯉とりの手法は、鯉を腕に抱くというものです。
彼は、鯉とりをする数日前から、栄養価が高いものを食べ、当日も河原のたき火でじっくり
からだを温めます。
そのまま川に入って水中に横たわると、人肌の温かさを求めて鯉が集まってくるので、それ
を赤ちゃんを抱くように、腕に抱いてそっと受け止める。それがまあしゃんのやり方です。
1日に100匹、全長95mの巨大な鯉を捕まえたこともあるそうです。
巷では、士業のマーケティング本やセミナーであふれています。ホームページ、セミナー、
SNSといった「マーケティングツール」、「ターゲットマーケティング」、「マーケティ
ングミックス(4P)」「ブルーオーシャン・レッドオーシャン」…。この業界もマーケ
ティングが必要なんだと叫ばれています。
私も、診断士という資格を有していることもあって、マーケティングの重要性・有効性は実
感しています。しかし、弁護士業は、地域に根付いて、長期間かけて行っていくものです。
マーケティング手法を導入し、効果があったとしても、地域のお客様の長期的な支持がなけ
れば、効果は一時的なものとなり、「一発屋」におわってしまいます。
鯉が人肌を求めるように、「この人(弁護士)なら安心」という状況があれば、お客様は
自ずから、その事務所に依頼をするのではないでしょうか。
日々の研さんを忘れないこと、一つ一つの事件を誠意をもって取り組み、地域のお役様の信
用を長期間かけて少しずつ築いていくことが、長期的にみると、最高のマーケティング方法
なのだと思います。
是非ご覧下さい。